AIネイティブ基盤とA2A思想
── 管理画面を捨てた先にある世界
自作サービス × MCP接続で、Claude Codeからビジネスをシームレスに運用する設計思想
先日、こんな投稿をしました。
今テストで作ってるんだけど、やばいことになってる。
Claude Codeから自作のマーケツールにMCPで直接つないで、LINE Botのファネルをターミナルからまるごと構築してる。
テンプレート5個、ステップ配信5通、タグ3個。全部自動生成。管理画面、一度も開いてない。
思った以上に反応をいただきました。
今回は「MCPの設定方法」ではなく、この裏側にある2つの設計思想について書きます。
「AIネイティブ基盤」と「A2A(Agent to Application)思想」。
この2つを理解すると、Claude Codeの使い方が根本から変わります。
AIネイティブ基盤とは何か
まず、今のSaaSの構造を整理します。
ほとんどのSaaSは「人間が管理画面を操作する」前提で設計されています。
ボタンがあり、フォームがあり、ダッシュボードがある。
全部「人間の目と手」のためのUIです。
ここに決定的な問題があります。
AIはGUIを操作するのが苦手です。
画面をクリックする、プルダウンを選ぶ、保存ボタンを押す。こういった操作をAIにやらせるのは非効率で、不安定で、遅い。
じゃあどうするか。
最初からAIが操作する前提で、サービスを設計する。
これが「AIネイティブ基盤」です。
具体的にはこういうことです。
- 管理画面ではなく、APIファーストで設計する
- MCPサーバーを最初から組み込む
- AIが理解しやすいデータ構造にする
- 人間用のGUIは「確認用」として後から付ける
従来のSaaS:人間 → GUI → データベース
AIネイティブ基盤:AI → MCP → API → データベース
この設計順序が逆転するだけで、できることが根本的に変わります。
A2A思想 ── AIがサービスを動かす世界
もう1つの重要な概念がA2A(Agent to Application)です。
今のSaaSの使い方は、こうです。
人間 → SaaS(LINE配信ツール)
人間 → SaaS(LP作成ツール)
人間 → SaaS(CRM)
全部「人間が操作する」。ツールが増えるほど、管理画面の行き来も増える。
A2A思想では、これがこうなります。
人間 → AI → サービスA(LINE Bot)
→ サービスB(セミナー管理)
→ サービスC(LP)
→ サービスD(商品管理)
人間が触るのはAIだけ。
AIが各サービスを直接操作する。
これがA2A思想です。
「AIがAIを動かす」のではなく、「AIがサービスを動かす」。
SaaSの世界でも、人間がGUIを触る時代から、AIがAPIを叩く時代に移行していきます。
実際に何が起きたか
僕は自分のマーケティングツールを自作しています。
LINE Bot管理、セミナー管理、LP作成、商品管理。
全部1つのサービスにまとめて、MCPサーバーを組み込みました。
Claude Codeのターミナルから、こんな指示を出しました。
- 「LINE Botのテンプレートを5つ作って」→ 5つ作成完了
- 「ステップ配信を5通セットして」→ フォルダ作成 + メッセージ5通設定完了
- 「タグを3つ作って」→ タグ3つ作成完了
- 「セミナーを4つ作成して公開して」→ 4件作成・公開完了
- 「商品を2つ登録して」→ 2商品を作成・公開完了
- 「セミナーLPを作成して」→ HTML LP 2ページ作成・公開完了
管理画面は一度も開いていません。
全部ターミナルからの指示だけ。所要時間は数分です。
これは「便利なショートカット」ではありません。
仕事の構造そのものが変わっているんです。
70以上のツールを1つの窓口で操作する
もう少し具体的に話します。
僕のマーケティングツールには、70以上のMCPツールが実装されています。
内訳はこうです。
- LINE Bot関連:41ツール(テンプレート作成、ステップ配信、タグ管理、リッチメニュー設定など)
- セミナー関連:14ツール(作成、セッション管理、申込管理、リマインド送信、統計など)
- LP関連:12ツール(HTML LP作成・管理・公開など)
- 商品関連:商品の作成・管理・公開
従来なら、これらは全部バラバラの管理画面を持つ別々のSaaSです。
LINE配信ツールにログインして、セミナー管理ツールにログインして、LP作成ツールにログインして......。
それが今、Claude Codeという1つの窓口から全部操作できる。
しかもAIが文脈を理解しているので、「さっき作ったセミナーのLPも作って」と言えば、セミナーの情報を引き継いでLPを自動生成してくれる。
ツール間のデータの行き来すら、人間が意識する必要がない。
なぜ「1つのDB」が重要なのか
ここで見落としがちだけど決定的に重要なポイントがあります。
データが1つのデータベースに統合されているということです。
バラバラのSaaSを使っていると、こうなります。
- LINE配信ツールのユーザーデータ
- セミナー管理ツールの申込データ
- LP作成ツールのアクセスデータ
- 決済ツールの購入データ
全部別々のDBに入っている。横断的な分析をしようとすると、CSVエクスポートして突き合わせる、みたいな地獄が待っています。
自分のサービスなら、全データが1つのDBにある。
だから「LINE登録者のうち、セミナーに申し込んだけどまだ商品を購入していない人」みたいな条件も、一発で引ける。
AIにとっても、1つのDBを参照するだけでビジネスの全体像が見える。だからこそ、文脈を理解した適切なアクションが取れるんです。
なぜ自分のサービスなのか
「既存のSaaSがMCP対応すればいいんじゃないの?」
その通りです。実際にNotion、GitHub、Slackなど多くのサービスがMCP対応を始めています。
でも、ここに重要なポイントがあります。
既存SaaSの限界
- MCP対応するかどうかはツール側が決める
- 対応しても「ツールが許可した範囲」でしか操作できない
- 自分のビジネスに最適化されたAPIは用意されない
- ツールAとツールBのデータを横断する操作は難しい
自分のサービスなら
- MCP対応は自分の判断で即座にできる
- 自分のビジネスに最適化したAPI設計ができる
- LINE・セミナー・LP・商品のデータが1つのDBに統合される
- 「商品を作って、セミナーに紐づけて、LPを公開」が1つの指示で完結する
これが、自分のサービスを持つ本当の意味です。
AIネイティブ基盤を自分で持つことで、A2Aの恩恵を最大化できる。
「それって大変じゃないの?」
はい、以前なら大変でした。
でも今はClaude Codeがある。
Claude Codeに指示を出すだけで、データベース設計からAPI実装、MCPサーバーの構築まで全部作れます。
つまりこういう構造です。
Claude Codeでサービスを作る(開発フェーズ)
↓
Claude Codeでサービスを動かす(運用フェーズ)
作るのもAI。動かすのもAI。
人間がやるのは「何を作るか」「何をするか」を決めることだけ。
これがA2A思想の行き着く先です。
具体的なワークフロー
実際に僕がどう仕事を進めているか、もう少しリアルに書きます。
たとえば「新しいセミナーを企画して集客する」というタスク。
従来のやり方:
- セミナー管理ツールにログイン → セミナー作成 → セッション設定
- LP作成ツールにログイン → LP作成 → 公開設定
- LINE配信ツールにログイン → テンプレート作成 → ステップ配信設定
- 各ツールのURLをコピペして繋ぎ合わせる
ツール4つ。管理画面4つ。行き来を繰り返して、半日〜1日。
今のやり方:
「2月のClaude Code実践セミナーを作って。2/17と2/21の21時から。LPも作って公開して。LINE配信のステップも4通セットして、セミナーLPへ誘導する流れで」
これだけ。
Claude Codeが全部やってくれます。セミナー作成、セッション追加、LP生成、公開、ステップ配信設定。所要時間は数分。
しかも全データが1つのDBにあるから、「このセミナーの申込者数は?」「未申込者にリマインド送って」という追加指示もそのまま通る。
これがA2Aの世界です。
これからの世界
近い将来、こうなると思っています。
- 既存のマーケティングツールもMCP対応していく
- SaaSは「AIが操作するAPI」を標準装備するようになる
- 管理画面は「確認用」になり、操作は全てAI経由になる
- 複数のSaaSをAIが横断的に操作するのが当たり前になる
そのとき重要になるのは、「MCPの繋ぎ方を知っているか」ではありません。
「AIネイティブな基盤の上で、自分のビジネスをどう設計するか」
ここを考えられる人が、圧倒的に有利になります。
まとめ
- AIネイティブ基盤:最初からAI操作前提で設計されたサービス
- A2A思想:人間→SaaSから、AI→サービスへ。AIがサービスを動かす世界
- 自分のサービスを持つことで、A2Aの恩恵を最大化できる
- 70以上のツールを1つの窓口(Claude Code)から操作
- 1つのDBにデータ統合 → 横断的な操作と分析が可能
- Claude Codeで作り、Claude Codeで動かす。人間は「決める」だけ
- 管理画面を捨てた先に、シームレスな運用がある
まだテスト段階ですが、この仕組みが完成したらマーケティングの常識が変わると本気で思っています。
いかにローカルでシームレスに構築できるか。
これがこれからの肝になっていきます。